Why Choose Us?

研究室選びに悩む人へ
   多くの人は,系分けや研究室配属が近づくと「どこへ行けばいいんだろう」と悩むことでしょう.理系にとっての研究室選びは,人生を左右するほど大事なものなので慎重になるのは当然です.ここには本研究グループの教育・研究方針および研究室でできることを書いておきますので,研究室選びの判断材料にしてください.

1. 当研究室の方針
(1) 科学者になるために,したいことを目一杯する
(2) 主体的であること
(3) 基礎研究を指向する

 当研究室の目標は,科学者を育てることです.「科学者になる」ということは必ずしも「専門家として職を得る」 ことを意味するのではありません.科学というのは「ものの理解の仕方」です.干ばつが起きたときに祟りのためだと考えるか, 遠く離れた海の異常な温度上昇が原因だと考えるかで,その後の人間の行動は変わります.科学者は,現象の背景には自然法則があるという確信のもとに,次の行動の計画を立てることのできる人です.

  科学者になるためには,徹底的に自然を知り理解しなければなりません.そのための理学研究は,一朝一夕でどうにかなるようなものではなく,途方も無く時間と手間がかかるものです.初めて研究に取り組む人には,積み上げなければならない知識のあまりの多さに尻込みすることでしょう.

  理学研究を行うのには,色々な制約があります.その中で最も大きな制約が時間です.我々の寿命は有限で,使える時間は1年に24×365時間しかないのです.時間という絶対的な制約のもとでは,なるべく長く理学に関わることこそが科学者への近道です.そのためにはしたいことを目一杯することが理にかなっていると思いませんか?

  「したいことをする」が当研究室の方針ですから,学生に研究・学習を強いることはありません.もちろん卒業単位を授与するためには,最低限こなさなければならないことはありますが,その最低限が問題になるようでは「したいこと」などできません.自分の生活をコントロールして,研究活動に主体的に取り組むことが重要です.教員の役割は,それをサポートすることです.

  我々は,高分子科学に関する基礎研究を行っています.次の項にある「当研究室でできること」のなかに,好きなこともしくは好きになれそうなことがあるかどうかを吟味してください.当研究室では「研究室に配属される学生=高分子基礎研究を好きになりたい人」という認識で話が進みます.それ以外の想定はしていません.配属されたら高分子基礎科学を好きになるつもりでいてください.

2. 当研究室でできること
(1) 高分子を測ること(分光,散乱測定)
(2) 高分子を作ること(有機合成)
(3) 高分子を測る装置を作ること(光学,電子回路,プログラミング)
(4) データを解析する方法を作ること(数値解析,プログラミング)
(5) 仮説を補佐するモデルをつくること(シミュレーション)

Techniquesを見るともう少し詳しい情報が載っていますが,当研究室で行っていることは大体上の5つです.研究室配属時には,教員と話合いながら,これらの中から興味のありそうなものを自分で選んでもらいます.研究が進むにつれて,他の項目に関わることもあるでしょう.4年生ならどれか1つ,修士なら2つ以上,博士ならば3つ以上に関わる人が多いです.

  当研究室では,学生1人に1つの研究テーマを行ってもらうことにしています.先輩から後輩へ技術は引き継いでもらいますが,テーマの引き継ぎや重複はなるべく避けています.自分のテーマは,自分で前に進めるしかありません.当然失敗することが多くなりますが,効率は求めません

  現代社会は,「効率よく」とか「コスト計算」とか「最短で」とかいうことが好きなようですが,これらの「最適化」は解がわかっているときにのみ成立する話であって,見つかっていない解を探す基礎研究には不向きな考え方です.不器用で非効率で良いから,道なき道を進むことを楽しみましょう.

3. おわりに
 好きなことをとことん突き詰める人が集まれば,研究室はびっくりするくらい楽しい場所になります.そう,大事なことは楽しむことなんです.